民法改正に伴う、家賃保証会社への期待
家賃保証会社の黎明期
今からおよそ20年程前、管理人が不動産業界に足を踏み入れた時の最初の業務は賃貸仲介業務でした。その時に初めて「家賃保証会社」なる「画期的」なシステムがあることを知り、大変感銘を受けたことを覚えておりますww
当時は、100万都市のターミナル駅近くの不動産会社に勤務しており、地方から出てこられた方のお部屋探しのお手伝いをさせていただいたのですが、「家賃保証会社」の説明をすると、殆どの方が怪訝な顔をされていましたね。「何それ?」、「何で借主が保証料を支払うの?」、「借主のメリットは?」等。
「家賃保証会社」についてご存知ない方もいらっしゃるかもしれないので、簡単に説明すると、借主様が家賃を滞納した際に、保証会社が家賃を立替えて貸主に支払うと共に立替えた家賃を保証会社が借主様より回収するシステムで、貸主様からみると家賃滞納のリスクをヘッジできる制度になります。
家賃保証会社が未だ「認知」されておらず、説明をするのに大変苦労をしました。また、今となってはの話にはなりますが、黎明期の「家賃保証会社」のレベルは玉石混合で、ほぼ「100%」審査がとおると噂された「オラオラ系」の保証会社もあったそうですww

家賃保証会社が普及した理由
現在の賃貸仲介業務の現場においては、「家賃保証会社」の付保が賃貸借契約の条件となることが一般化され、申込希望者への説明もすんなりと行くケースが増えてきたように思います。それは、家賃保証会社の業界団体の皆様の経営努力もさることながら、「家賃保証会社」のシステムが不動産会社に恩恵を与えたからだと思います。
・入居審査のアウトソーシング ⇒ 家賃保証会社のビックデーターが活用できる。
・家賃督促業務のアウトソーシング ⇒ 督促のプロが応対。
・立ち退きや明け渡し訴訟手続きのアウトソーシング ⇒ 督促のプロ、提携法律家が対応。
・連帯保証人の人数が減らせる ⇒ 契約手続きの簡素化。
・敷金を減らせる ⇒ 募集条件の緩和。
主に、業務のアウトソーシングが不動産会社に恩恵を与え、不動産会社が積極的に取り組んだことが、草創期の普及の原因だと思っております。我々は「忙しいからですねッ」www
人的保証から機関保証へのパラダイムシフト
広く普及した「家賃保証会社」のシステムですが、私の予想では益々普及し、社会インフラを担うことになると考えております。その理由が冒頭の「民法改正」と「少子高齢化」、「核家族化」になります。
これまでの賃貸借契約では、借主の賃料未払等があった場合の担保(保証)として連帯保証人制度(人的保証制度)が一般化しており、連帯保証人は賃貸借契約に関する「一切の責任」を借主と共に背負ってきていたんですねぇ。よくよく考えると「奴隷制度」にも似た側面があり、「連帯保証人だけはなるなよッ」と言われるのも納得がいきます。連帯保証人になっても良いことは何もないですからねッ。
実は、今回の「民法改正」によりこの「連帯保証人」の制度が大きく変わります。詳しくは、後日当ブログにおいて触れたいとおもいますが、「保証範囲の限定」、「保証が基本的に一代限り」となり、これまでのように何かあれば「連帯保証人」(人的保証)に頼るということがしにくくなるようです。
また、そもそも昨今の「少子高齢化」、「核家族化」により、連帯保証人を引き受けてくれるなり手がいなくなってきているという社会背景もあると思います。一人っ子の世帯も多く、親族同士の付き合いも希薄になっている現状では、もう、人的保証に頼ることは難しいと思います。
今後の家賃保証会社に期待すること
以上の理由により、不動産会社は賃貸借契約においてい益々、家賃保証会社に依存することになると思われます。賃貸管理の現場担当者として、以下のことを家賃保証会社に求めたいと思います。
(1)盤石な経営
・社会インフラですので、倒産しては困ります。リーマンショックの時に倒産した上場会社有
(2)人的保証の除外
・保証委託契約の中に連帯保証人(人的保証)をとるのは、やめていただきたい。
・保証人の死亡に伴い、再審査及び再度の保証料の支払いを求めることはやめていただきたい。
・住宅ローンの保証会社と同様、適切な審査と適切な「保証料」のみで運用していただきたい。
(3)社会的弱者への配慮
・生活保護世帯等も加入できる制度にしていただきたい。