大手FC系がテナント物件を扱わない理由

大手FC系賃貸サイトに掲載できないテナント物件

 過去のブログ記事でふれたとおり、管理人が不動産業界に足を踏み入れ、最初に経験したのは「不動産賃貸仲介」の業務でした。当時入社した不動産会社では、企画開発業務、不動産売買仲介業務、不動産賃貸仲介業務、不動産管理業務という4部門に対外業務が別れており、業界初めての社員は先ず、「不動産賃貸仲介」に配属されるのが通例になっておりました。

 「不動産賃貸仲介」の現場では、FC本部の意向もあり、とにかく、FC本部のホームページに物件をひたすら登録する作業を行い、本部のCMや雑誌等の側面支援を受け、集客を行い、問い合わせ、案内、契約、引渡しのルーティーンを延々と繰り返していた記憶があります。

 その集客力を期待されたテナント物件のオーナー様から、「テナント物件も募集して欲しい」との依頼を受ける機会がボチボチあったのですが、FC本部のホームページでは、「住居系賃貸物件」しか掲載できず、その期待に応えることができないことがよくありました。「何故、大手FC系賃貸では、テナント物件が掲載できないのだろう?」と当時は不思議に思っていました。

ようやく分かった、その理由!

 不動産業界にどっぷり浸かった今になって思うのですが、大手FC本部が何故「住居系賃貸物件」に特化したのか、その理由が何となく分かってきました。おそらく、大手FC本部がテナント物件を積極的に取り扱わないのは以下の理由によるものと管理人は推定します。

(1)テナント物件は、手間がかかり、効率が悪い。
(2)テナント物件を取扱いには、知識と経験が不可欠である。

 業界の方であれば、管理人が言いたいことが分かっていただけると思うのですが、具体的にその理由を説明していきたいと思います。

(1)テナント物件は、手間がかかり、効率が悪い

 不動産会社の営業の評価はつまるところ、「売上を幾ら上げたのか?」に集約されてしまいます。「結果」が全ての世界ですし、歩合給にダイレクトに影響を与えます。そこで、限られた時間の中で効率的に「売上」をあげるには、反復継続性がある「住居系賃貸物件」にターゲットを絞ったものと思われます。

 住居系賃貸物件は、基本的に「用途」が「住居」で固定されるため、一度、重要事項説明書や賃貸借契約書の雛形を作成してしまえば、極端な話、借主情報、契約日、契約期間だけ文字を変えるだけで済んでしまいます。退去後のホームページの掲載も、現況は滅多に変わらないため、築年数や、家賃等の諸条件の数字を書き換えるだけで使いまわすことができます。楽勝ですねッ!」頭も使わなくていいしww。

 これが、テナント物件、特に「事務所以外」の「用途」であった場合は、かなりの労力を費やすことになります。テナント物件は、「利用用途」によって契約内容が変わる「1点物」の契約になります。よって、「汎用品」である「住居系賃貸物件」と違い、オーダーメイドの契約書を作成する必要があります。
 
 また、基本的に「改装をすることが前提」となっているため、重要事項説明書の調査項目が多く、想定されるリスクを織り込んだ賃貸借契約書を作成する必要があります。そのための「調査」、「打ち合わせ」の時間がかなり必要となり、同じ仲介手数料をあげるのであれば「住居系賃貸物件」を取扱った方が効率が良くなります。

(2)テナント物件を取扱いには、知識と経験が不可欠

 不動産業界の営業職はどのジャンルにおいても、人の入れ替わりが激しいという特徴があります。営業の「売上目標」であったり、「長時間の就業」、「土日祝日に休めない」、「思っていた給料に達しない」等、様々な理由で辞めていく人が後を絶たないのです・・・orz 賃貸の営業店舗であれば、3年も在籍すれば、「ベテラン選手」になるのではないでしょうか? 実際管理人も入社2年で某賃貸店舗の責任者になってしまいました・・・。まぁ、先輩が次々と辞めていった結果なのですけれどねww

 業界人の中には、「賃貸仲介業務」を「楽勝」若しくは「レベルが低い業務」と考えている人もいるようですが、「テナント物件」については、ある意味「売買仲介業務」にも匹敵する「知識」、「経験」が必要になってくると思います。舐めてテナント物件の仲介業務を行うと大怪我をする可能性があります。

 (1)で述べたように、テナント物件は「改装」が前提になるため、建築基準法や都市計画法などの知識、消防法の知識、建築設備の知識等、様々知識が求められます。しかも「利用用途」により、それぞれの基準が異なってくるケースがあり、付焼刃的な知識では誤った結果を導き、お客様に迷惑を掛け、下手をすれば、損害賠償を求められるケースもあります。

 設備面の重要事項調査や、賃貸借契約書の特約事項の記載方法など、頭を悩ますハイレベルな対応が求めれるため、それに費やす時間やリスクを考えると、仲介手数料1ヶ月分の報酬では割に合わないと個人的に思います。

 おそらく上述のことを考慮した結果、大手FC系はテナント物件と距離をあけることを選んだのではないかと個人的に思っております。業界人の皆様もきっと賛同していただけるのではッ!

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