住居系賃貸物件の重要事項説明の注意点

住居系賃貸物件の重要事項調査は「業界の登竜門」

 2020年2月23日付「事業系賃貸物件の重要事項説明の注意点」というブログ記事を掲載したので、今回は、「住居系賃貸物件の重要事項説明の注意点」について、不動産会社の現役社員である管理人が実務で経験したことを語っていきたいと思いますッww だんだん、ホームページタイトルの「エステートデザイン」(不動産の考察に)に近づいてきた気がしますッww

 不動産業界には、様々な種類の業務があるのですが、初めて経験した業務が「賃貸仲介業務」という方は結構いらっしゃると思います。その関係で最初に作成した重要事項説明書が「賃貸物件」になることが多く、住居系賃貸物件の重要事項調査は、「業界の登竜門」と言えるのではないでしょうかッ!

住居系賃貸物件の「重要事項説明書」、「契約書」の特徴

 前回のブログ記事で「事業系賃貸物件」は、「重要事項説明書」および「契約書」が完全オーダーメイドになると説明をしたのですが、「住居系賃貸物件」はその逆で、一度作成してしまえば、誰に対しても、ほぼそのままの状態で繰り返し使える「既製品」という位置づけになると思います。

 従いまして、現場では、借主の名前、契約日、契約期間、賃料等の諸条件を打ち換えるだけで、簡単に重要事項説明書や賃貸借契約書を「複製」し作成することができるため、初回の作りこみがとても大事になると思います。初回の作りこみが間違っていると、延々と間違いがある重要事項説明書、賃貸借契約書を量産するという悲惨な状態になってしまいますorz

 また、賃貸物件といえども、業法の改正や、民法、借地借家法等の改正の影響も受けますので、法律改正についても、適宜注意を払い、重要事項説明書や賃貸借契約書を作成する必要があります。

 最近は、賃貸物件が供給過剰となっており、空き室の問題がクローズアップされたことから、間取りを変更するリノベーションやリフォームなども盛んに行われているので、間取りや、設備面については、特に注意を要するかと思います。

「設備」を制する者は、住居系重要事項を制す

 最後に管理人が「住居系重要事項の注意点」であると考えている「設備」に関わる事項を取り上げていきたいと思います。ここでいう設備は、「ライフライン関係」と「機器的な設備」となります。

 先ず、ライフライン関係ですが、「水道」、「電気」、「ガス」の三つに分かれますが、それぞれの
注意点を記載していきたいと思います。

(1)水道関係
「水圧」に注意が必要です。特に古い物件で屋上に高架水槽があるタイプは、水圧が弱い物件があり、最悪な場合、水圧が弱く、給湯器が上手く動作しないことがあります。お湯が出なければ、借主様から当然のようにクレームがきます・・・orz ポンプを付けるなどの対応が必要で費用がかかります。
また、最近は少なくなった「汲み取り式」の水洗の処理についても、注意が必要です。汲み取り業者の各世帯への請求が、「世帯数の頭割り」か「世帯人数を加味した頭割り」となっているか、念のため、確認した方が良いかもしれません。以前、汲み取り費がこんなに高い筈がないと苦情がありました・・・。

(2)電気関係
古い物件の場合、電気のブレーカーの引込が「単相二線式」であることが多く、その場合、電灯の最大容量は30A(アンペア)になります。30Aは、主に1K等の単身世帯であれば、大抵問題なく使用できると思いますが、2DK等のファミリー世帯になると煩雑にブレーカーが落ちる原因となります。30Aを超える電灯の容量が必要な場合は、電線を新たに引込工事や、ブレーカーの取替が必要となり、その費用(結構高額)を誰が負担するかで揉める原因になったりします。

(3)ガス関係
プロパンガスの場合、会社によっては、ガス使用料の単価がかなり高い場合があります。管理人は、案内の際にサラッと伝えるようにしております。また、基本的なことですが、ガステーブル等の機器を購入する際は、都市ガスの場合は都市ガス用、プロパンガスの場合は、プロパンガス用を購入する必要があります。ガスホースを買い忘れるお客様が多いので、併せてお伝えしておくと良いと思います。

(4)テレビのアンテナ
管理人はこの業界に入る前は、テレビは映って当然と思っていたのですが、共同アンテナがなく、当然には、テレビが映らない物件があることを知りましたッww。従いまして、物件に共同アンテナがあるかは、確認が必要です。都心部の高層ビルが立ち並ぶ物件は、海や湖の近くの物件は、アナログ放送時代は共同アンテナがあっても、テレビが映らないことがあったのですが、デジタル放送ににあり改善したようです。古い物件は、部屋毎にアンテナがたっているケースがあり、号室によっては、アンテナが無い物件があったりします・・・orz ロシアンルーレットのようで非常に怖いですねッ

(5)インターネット関係
光インターネットの提供エリアであるのに、光ファイバーの敷設が他人地を経由しないとできないケースで、他人地の土地の所有者の承諾が得られず、光インターネットが導入できない場合があります。うっかり、光インターネットが導入できますッと言ってしまうと、後々、後悔することになります・・・。

(6)各種ドアや廊下などの幅員
近年、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品が大型化しており、特に古い物件の場合、スペースの関係で洗面脱衣所の洗濯機置場にドラム式洗濯機を置けないケースや、台所横のスペースに冷蔵庫を置けないケース頻発しております。お客様の手持ちの家電製品を搬入できるかについて、確認を促すことが必要です。

(7)エアコン関係
エアコンの電源(コンセント)は、「100V」タイプと「200V」タイプがありますので、しっかり確認しておく必要があります。これに関しては、工事費用が安価で済むのでそれほど費用負担で揉める心配はないのですが・・・。古い物件の場合、エアコン用の電源がそもそも無いこともあります。エアコン用の電源工事をする際にブレーカーの回路に余裕が無い場合は、ブレーカーの取替工事も必要となります。
 
エアコン本体と室外機をつなぐドレーン用の穴が外壁に無い場合、穴をあける必要があるのですが、区分所有建物の場合、外壁が共有物になるため、管理組合の許可がとれないことがあります。また、室外機を置くことができる、そして室外機をどこに置くことにするか、も重要です。室外機置場の近くに他人の部屋の窓がある場合、騒音や、熱風の問題で隣人よりクレームがくることがあります。室外機置場が狭い閉じ込められた空間にあると、室外機が上手く動作せず、エアコンが動かない原因となります。

以上が、管理人が賃貸仲介の現場で体験した事案になります。一部、重要事項調査とは関係のない事案もありますが、取引を円滑に行い、後々のクレームを減らす為にも、申込人に事前に伝え、どうするのかを検討しておいた方が良いと思っておりますっ!

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