平成30年度民間住宅ローン実態調査結果

平成30年度の住宅ローンは変動金利派が6割超となる!

 2020年3月19日に国土交通省より「令和元年度民間住宅民間住宅ローンの実態に関する調査」の結果が発表された。タイトルは「令和元年度」となっているが、調査実績の対象年度は、1年前の「平成30年度」となっており、(1)個人向け住宅ローンの実績、(2)アパートローンの実績、(3)住宅ローンのラインナップの3項目について、1340の金融機関に対しアンケートした結果を纏めたものとなる。

 この調査結果の中で、管理人が注目しているのが新規貸出額における金利タイプ別割合という調査項目である。具体的には、「証券化ローン」、「全期間固定金利型」、「固定金利期間選択型」、「変動金利型」の4類型に分け、それぞれの割合を調査しているのですが、今回、「変動金利型」の商品を選好した割合が「60.5%」となり、平成16年度からの調査からで、初めて6割を超えた模様。(下記表参照)

対象年度変動金利型固定金利期間選択型全期間固定金利型証券化ローン
平成30年度60.5%24.3%5.3%9.9%
平成29年度50.7%31.2%6.2%11.9%
平成28年度50.2%25.7%7.1%17.0%
平成27年度56.5%30.0%4.3%9.2%
平成26年度52.5%35.4%5.0%7.1%
平成25年度49.7%35.2%6.0%9.0%
平成24年度58.0%26.8%4.2%11.0%
平成23年度54.5%27.8%2.8%14.9%
平成22年度52.5%27.3%3.6%16.6%
平成21年度49.0%43.2%2.3%5.5%
平成20年度36.0%56.0%3.9%4.1%
平成19年度26.7%62.8%7.2%3.3%
平成18年度15.7%66.5%12.9%4.9%
平成17年度10.9%73.4%10.1%5.7%
平成16年度13.6%79.8%5.8%

歴史にみる、日銀の「ゼロ」金利政策と住宅ローン

 日本銀行がバブル崩壊後、経済立て直しのために行政の財政政策と同時に実施した金融政策がおそらく「ゼロ」金利政策の開始だと思われます。1999年2月に当時の日銀総裁が、短期金利を「0.15%」に誘導することを決定し、「金利がゼロでも良い」と発言したことから「ゼロ金利政策」と呼ばれるようになったとか・・・。当時は、緊急避難的に異例の「ゼロ金利政策」を発動し、早期の正常化を目指した筈だったのですが、2001年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック等により、正常化を逃し、現在に至っております。

 一般的に住宅ローンは、固定金利型が長期金利に、変動金利型が短期金利に連動するため、上記の表をみるに「変動金利型」が主流となる理由がわかる気がします。日銀によるゼロ金利政策の恩恵を一番受けたのが「変動金利型」であり、マネー本の住宅ローンの相談コーナーでファイナンシャル・プランナーの方がお勧めしていた商品が、恩恵を受けることができなかった「全期間固定金利型」でした。よって、投資に弱いとされる日本人ですが、ここ、十数年の住宅ローンのデータを見る限り、結果論ですが、合理的な選択をされていたと言えるのではないでしょうか?

主流派の変動金利型のリスク

 日銀の「ゼロ金利政策」の恩恵を受け続けてきた主流派の変動金利型の方々ですが、今後ともリスクは無いのでしょうか? 現在、世界中が「新型コロナウイルス」によるパンデミックで混乱しており、短期で金利が上がる要素は日本では無いような気がします。

 一般的に変動金利型のリスクとして言われるのが、「金利上昇」局面でのリスクです。金利が上昇すれば、ローン残高に対する支払利息が増えることにより、ローンの返済額(元金返済+支払利息)が増加することになります。金利が上昇しても、金利上昇を超える収入の増加があれば対応できるのですが過去の歴史を振り返る限り、金利上昇のスピードに勝てないことが多いと思われます。

 管理人が思う、「変動金利型」(元利均等法式)の住宅ローンの怖いところは、①5年ルール(5年間は、返済額が変わらない)と、②125%ルール(金利が上がっても、月々の住宅ローンの上昇幅が前回の支払額の1.25倍までとする)にあり、この二つのルールがある条件下になると「ローン地獄」と言える状況を引き起こすことにあると考えております。

 まぁ、このルールを好意的に解釈すると、年2回見直される金利変更の度に、毎月の返済額を変えるのは、貸主も借主も大変だから、5年毎に一定の縛りを設けて、返済額を見直そうねッ! という制度なのでしょうけれどもね・・・orz

 実は、この仕組みは、金利が急上昇した際に、元金の返済額を減少させ、やがて「未払利息」が発生させるという「副作用」を生じます。昨今、主流派となった「変動金利型」の住宅ローンですが、この「ローン地獄」と言える仕組みについて、正確に理解されている方は少ないと思われます。管理人も「知識」としては、知っているのですが、もう一度、その仕組みについて勉強しなおそうと思います。

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